- 和名
- ステルクリア・ロゲルシー
- 学名
- Sterculia rogersii
- 別名
- スターチェスナット
- 英名
- star-chestnut
- 分類階級【目科属】
- アオイ目アオイ科【旧アオギリ科】ステルクリア【ピンポンノキ】属
- 原生地
- スワジランド、ボツワナ、ジンバブエ、モザンビーク、エスワティニ、リンポポ州のクワズール ナタールの低地
- 樹高
- 原生地では樹高6m、幹幅50cm前後程まで成長します。
鉢栽培でコンパクトに栽培可能、現地では盆栽にもされています。 - 樹勢
- ◎普通
※夏(高温期)は良く成長します。 - 耐寒性
- ◎弱い(観葉植物としては普通)
5℃以上での管理をお勧めしています。
農場では寒風を防げるビニールハウス内で瞬間的なマイナス2、3℃、1週間ほど0℃~2℃前後の環境でも成長しています。
冬は落葉し、芽吹きはゆっくりです。
- 耐暑性
- ◎とても強い
直射日光の当たる環境でも元気に成長し、
日差しが強く、最高気温40度を超える日も観測された静岡県浜松市でも良く成長しています。 - 日照要求量
- ◎とても多い
一年を通して直射日光の当たる遮光されない環境で栽培する必要があります。
半日陰でも栽培可能ですが、極力光を当てたり、育成ライトを使用してください。 - 栽培難易度
- ◎普通
直射日光の当たる環境を用意、最低気温5℃以上を維持、冬場は乾かし気味(用土が湿っていれば与える必要ありません)にすれば丈夫です。 - 水の要求量
- ◎季節に応じて
最高気温が25度を超える日がある、5月~10月上旬頃まで良く吸い
特に真夏は葉を旺盛に茂らせ、良く水を吸います。 - 希少性
- ◎珍しい
市場や園芸店様で、流通はほとんどありません。 - 備考
- 当農場では、地下に埋まった塊根部分を持ちあげコンパクトにした株、通常の苗を生産しています。
特徴
ステルクリア・ロゲルシーは、アフリカ南部に自生するアオイ科の植物で、株元が膨らみ、花も見事なとても可愛らしい植物です。
実生苗栽培の場合、地下に塊根部分が形成されます。
※丸い塊根の形成を狙う場合は、4号前後から6号の間でゆっくり作り込むのをお勧めします。
現地では植栽の他、盆栽にも利用され、樹皮の繊維は網などに使用されるようです。
葉には微毛が生え、ふかふかな気持ちの良い触り心地で、ほんのり甘い香りがし、強く触れるとべたつく蜜のようなものを分泌します。
現地では葉・種が草食動物や虫に食べられております。
栽培環境下では高温時にはヨトウムシ、稀にコガネムシ成虫の葉の食害リスクがあります。
コンパクトに様々な形で塊根仕立てをしたり、ボリュームのある葉っぱの大きな株で育てても魅力な植物です。
栽培情報
①用土配合について
日本と比較して降水量の少ない地域に自生しているため、
多くの時期を雨ざらしの環境で屋外管理する場合、しっかり水はけを確保する用土にする必要があります。
堆肥質の水持ち・肥料持ちの良い弱酸性から中性の用土で良く育ちます。
赤玉土6割+腐葉土or植物性堆肥4割をベースに、パーライト・くん炭を1割ほど混ぜたもので栽培可能です。
バーク堆肥やヤシガラ資材を使用することで、用土のphを中性に近づけつつ
肥料持ちをあげ、用土内の気層も確保し、しっかりと根を張らせ生育を促進してくれます。
※当農場では用土内にヤシガラを使用しています。
市販の水はけの確保されたバラの土や観葉植物の土でも代用可能ですが、
ph6~6.5前後の用土で最も成長の成績が良いため、
商品説明をみて、ph5前半の場合はくん炭やゼオライトなどの資材を使用し
中性に傾くよう調整するのをお勧めします。
②水やりについて
最低気温が5℃を超え、日中暖かくなる時期からゆっくり成長します。
※当農場(静岡県浜松市)のビニールハウス内でも4月頃から徐々に芽吹いてきます。
年間通して、一度の水やりは鉢底からたっぷりこぼれだすほど与える必要があります。
※特に生育期は注意が必要で一度に水を与える量が少ない場合は支障が出ますが、
たっぷり与える分には問題ありません。
③水やりの目安の頻度
☆12月~2月:1週間~2週間に1回
※冬時期は、栽培される環境がそれぞれの方で大きく異なる場合が多いため、水やり頻度は変わっていきます。
ペットがいるエアコンの効いた暖かい環境では、用土も乾きやすくなります。
用土の表面が白く乾いた場合も、軽く掘り用土が湿っていたら与える必要はありません。
◎冬時期の水やりは、迷ったら翌日以降に行うようにします。
屋外管理の場合、特に霜がおりる恐れのある厳寒期は、用土が湿った状態だと良くないため、
天気予報を常に確認しながら、雨や寒い日が近い日には水を与えないようにします。
連日続く雨の場合で水やりが心配な場合、軒下などに取り込むのをお勧めします。
※暖かいビニールハウスなどで管理する場合は、新芽も展開し生育するため、
上記よりも頻度多めで、用土が乾いたらたっぷりと与えます。
室内管理の場合は日照不足の状態になりやすいため、必ず直射日光の当たる環境で屋外で管理する必要があります。
☆6月~9月:毎日1回 盆栽仕立てなど株に対して小さな鉢植えの場合、乾くようなら1日2回与えても大丈夫です。
◎暑さの続く時期は迷ったら、水やりをする形で問題ありません。
気温が25℃以上の晴れた日は、用土の表面が乾くと、すぐに全体的にも乾きやすくなります。
☆3月~5月、10月・11月:3日~1週間に1回
※鉢が小さい場合は頻度多めに行う必要があります。
用土の表面全体が乾いて1日後を目安に与えます。
樹勢に応じて、調整する必要があり
寒い際は与える必要がなく、この時期も迷ったら与えず、翌日以降にすることをお勧めします。
③植え替え・肥料について
鉢内に根が回った際に、2回り前後サイズに鉢増しを行います。
※目安:現在4号鉢の場合、6号鉢植えに鉢増しを行います
植え替え時は根鉢を崩さず、そのままの形で用土をたしていきます。
株元の位置も前の鉢植えと同じにします。
追肥は根が安定する、植え替え後2週間を目安に行います。
固形肥料、液体肥料など全ての肥料を与えることが可能で、
緩やかな成長時の春・秋はぼかし肥料や有機肥料、旺盛な成長時期の夏場は化成肥料など強めのものなど
使い分けての使用もお勧めです。
成長しない時期は肥料を吸収できず、マイナスに働くため、肥料の効く期間を考慮し、生育期のみ与えます。
発生リスクのある病害虫&対策
ステルクリア・ロゲルシーは、樹木類に適用のある農薬が使用可能になります。
高温時にはヨトウムシ、稀にコガネムシ成虫の葉の食害が見られます。
堆肥や腐葉土の腐植質の用土を使用する際は、用土の中に
コガネムシやネキリムシなど幼虫の発生のリスクは常にあります。
※農薬使用の場合は、商品パッケージに記載の用法用量は従ってください。
お勧めの殺虫剤:スミチオンやモスピラン(コガネムシやカミキリムシなど大きめな害虫対策)、
ゼンターリ顆粒水和剤(ヨトウムシ対策に有効)
ダイアジノンSLゾル(土壌潅水するとコガネムシ幼虫に有効)
☆アブラムシやハダニ、コナジラミ対策として有機栽培にも使用でき
脂肪酸グリセリドを主成分にした資材【サンクリスタル乳剤等】がお勧めです。
上記の資材は、物理的に害虫に対して気門封鎖を行うため、耐性を持たず
直接害虫に対して洗い流すように散布する必要があります。
また粘着くんなど、でんぷん主成分の資材も有効です。
お勧めの殺菌剤:トリフミン(治療目的)、ペンコゼブ水和剤(予防目的)、
トップジンM水和剤やベンレート水和剤(治療&予防目的)
水やりを行う際に葉水をしてあげると、水が苦手なハダニやうどんこ病の予防にもなります。
またベニカxファインスプレー(樹木類に適用あり)など、
殺菌、殺虫効果のある複数の種類の成分が含まれたものを持っていると
発生時や予防に希釈の手間を省けて瞬時に使用できるため、便利です。
地植えする際の注意点
地植えの適期:4月中旬~6月下旬
※日本国内では沖縄で可能です。
本州以北の暖地で、ビニールハウス管理で不可能ではありませんが、お勧めできません。
⇒植え付け時は、しばらく成長できる余裕を持った時期をお勧めします。
成木は2℃まで【風の当たらない環境であれば瞬間的にマイナス2、3℃】の耐寒性があります。
厳寒期は株元にウッドチップや堆肥を敷き詰め、保温効果を高めてあげると株に優しいです。
また寒風が吹き付ける際は、不織布で株を覆ったり、ビニールカバーなどをかぶせてあげると
さらに株への負担が軽減され安心です。
植え付け時は地面と株元の位置は同じくらいに行い、
株を囲むように周りに土を盛り、株に水が溜まりやすいようにします。
その後たっぷりと水やりを行います。(理想は2回に分けて行う)
※目安として10リットルの水を2回 2回目は10分から15分後に行います。
植え付け後は、酷暑が続く場合以外は水やりをする必要がありません。
生育期は定期的な追肥をすることで、良い成長をします。
※追肥は植え付け2週間程経ってから、しっかり根が安定してから行う必要があります。
用法用量は商品説明に従ってください。
秋に地植えする場合は、長期間肥効のある肥料散布の必要はありません。
例:夏時期はIB肥料【窒素10-リン酸10-カリ10】、春・秋は有機ぼかし肥料など、肥料の特性を考えて使い分けるのをお勧めします。
ミネラル補給も効果的です【特にマグネシウム、カルシウムは不足しがちです】