オンブー Phytolacca dioica フィトラッカ・ディオイカ

和名
オンブー
学名
Phytolacca dioica
別名
メキシコヤマゴボウ
英名
Ombu、Elephant tree
分類階級【目科属】
ナデシコ目ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属
原生地
南アメリカ(ウルグアイ、アルゼンチンなど) ※ウルグアイの国樹となっています。 最低気温が一桁になりますが、日本よりも少し暖かい環境です。
樹高
最終的な樹高:12m~15m、幅:15m~18m ※とても長寿な植物で、原生地ではより大きな株が存在します。

鉢植え栽培ではコンパクトに栽培可能で、海外では盆栽にもされています。

地植えにすると短期間で巨大になります。
そのため、お庭での地植えは推奨していません。
※塊根仕立てを目的に半年から1年程で鉢上げする場合は、成長具合をみながら可能です。
樹勢
◎強い~非常に強い(Fast growing)

肥料の反応も良いです。

樹勢が強いですが、気温が低くなり新芽の展開がない時期は
水やりを控えめにし、肥料は与えないようにしてください。


耐寒性
◎普通

暖地では屋外越冬可能です。
※USDAハーディネスゾーン:9b(~マイナス3.8℃)または9a(~マイナス6.6℃)まで

※株が木質化していない幼苗時は、霜に当たると溶けてしまうため、
5℃以上を確保できる室内で管理をする必要があります。

グリシンベタインを含むバイオスティミュラント資材を葉面散布することで、
耐寒性をあげ、真冬時期の傷みも軽減しているのを当農場でも毎年確認しております。
※真夏の酷暑など、環境ストレス耐性をあげてくれます。

最低気温が4℃以下の日が続くと、落葉します。

ユニークグリーンの圃場のある静岡県浜松市では、屋外管理でも2月中下旬で芽吹いてきます。

室内管理の場合、落葉しない場合が多いです。
耐暑性
◎とても強い

最高気温40℃を超えた静岡県浜松市にある農場でも
葉は傷まずに綺麗に成長しています。

暑い時期は良く水を吸うため、水切れに注意が必要です。
日照要求量
◎非常に多い

日照要求量は多く、一年を通して直射日光の当たる
遮光されていない環境で管理します。

お部屋や日陰のベランダで管理した場合、屋外管理と比較して
葉っぱが薄く大きくなる傾向があります。
栽培難易度
◎普通

直射日光の当たる環境が用意できれば容易です。 

朽ち果て・枯れ木・壺タイプなど穴のあいた塊根仕立て苗の場合、雨が連続する場合に
雨がたまり、株が腐敗しやすくなるため、注意が必要です。
水の要求量
◎多い

成長期は多いです。 水はけの良い用土で乾いたらたっぷり与えると綺麗に育ちます。
希少性
◎珍しい

日本国内での流通は稀です。
塊根仕立て苗一点もの>通常塊根仕立て苗>大きめの実生苗>通常実生苗 
1株1株個性豊かでユニークな植物になります。

個人的に思い入れが深く、最もお勧めしたい植物の一つです。
備考
苗は常時3号苗から10号苗、塊根仕立てなど在庫しています。

一点モノの苗が多いため、お気軽にメールやインスタグラム、Twitterなどでお問い合わせいただけましたら幸いです。

特徴

オンブーとは樹木のような見た目ですが、年輪がなく草本に分類され、成長が早く育てる楽しみがある植物です。

剪定後の芽吹きも早く(生育期は剪定後10日前後)、良く分枝し、種から育てた実生苗の場合、地中部分は塊根になります。

個性的な樹形に成長の早さ、植物として育てやすい丈夫さも相まって、ペット要素の強いとても可愛い植物です。

オンブー(ombu)の名前の由来は、スペイン語の"sombre"(日陰)からきており、現地では緑陰樹として活躍しております。

学名の種小名の"dioica"は雌雄異株の意味があり、雄木と雌木がそれぞれ別の株で存在します。

生育期の夏はたくさんの葉っぱをつけ日陰を作り、冬(日本の暖地屋外管理)は落葉し日向を作ってくれ、
理想的な緑陰樹のシンボルツリーにもなってくれます。

自生地では100年以上の長寿の株も存在し、苗をお迎えいただいた際も、長く相棒としてそして世代を超えても生存し続けてくれます。

栽培情報


オンブーは、冬時期に最低温度5℃以上で風通しの良い直射日光の当たる場所を確保できれば、育てやすい植物になります。

成長速度も早く基本的な用土でも良く育ち、肥料の反応も良いです。

軽い霜がでる位の上記の推奨温度以下でも越冬可能でありますが、その際には原生地の環境よりも寒いことを考慮し
鉢植えでは朝晩は屋内に取り込む、不織布をベタがけする、環境ストレスに強くするためにグリシンベタイン含有のバイオスティミュラント資材を散布するなどがお勧めになります。

用土配合

育つ用土の範囲は広いですが、pH6前後~pH6.5の弱酸性~中性に近い用土で良く育ちます。

ヤシガラ資材や堆肥、くん炭、ゼオライトなどを混ぜることで、上記のpHに近づいてきて
肥料持ち・水持ちに優れ、しっかりと気層を確保し水はけのバランスの良い用土となります。

葉っぱの収穫効率を高めるためには、堆肥質なふかふかな用土が相性が良いです。

Ⓐ市販で入手しやすい自作用土例:
Ⅰ.赤玉土7割+腐葉土3割
Ⅱ.赤玉土7割+完熟バーク堆肥3割
Ⅲ赤玉土7割+あく抜き・塩抜きされたヤシガラ資材3割

上記に1割ほどくん炭やパーライト・ゼオライトなどを追加するのもお勧めです。

Ⓑこだわりたい方向け用土例:
ココピート3割+赤玉土小粒3割+バーク堆肥or菌床堆肥3割+くん炭1割
※上記にイソライトを1割追加
土を良くするために有機ぼかし肥料・ミネラルなども適量追加

5号鉢から8号鉢へなど少し背伸びした鉢増しを行う場合は、赤玉土の中粒や粒の大きめなヤシガラ資材を3割ほど混ぜると
用土の水はけが上がり、根の伸長が進みます。

Ⓒ市販の培養土で代用例:
野菜の土・観葉植物の土・バラの土で栽培可能です。

あまりに価格が安いものやべちゃっとした用土の場合、
完熟バーク堆肥を3割、パーライト・くん炭を1割ほど混ぜてあげるのをお勧めします。

水やりについて

☆春夏秋冬1度の水やりは鉢底からたっぷりあふれ出るほど与えます。
根っこは土が乾き水を求めることで伸長するため、しっかりと乾かすことと水やりすることのメリハリが大切になります!

※晴れた日は曇りや雨の日の7倍以上乾くとされているため、水やり頻度は日数で決めるのでなく、
期間内での天気や温度を把握し、その都度用土の乾き具合をチェックすることがとても大切になってきます。

◎3月~5月(春時期):乾いたらたっぷりと与える
しっかりとボリュームのある株なら、気温20℃以上晴れが続く場合は2,3日に1回目安 
通常雨ざらし管理で問題ありません。
水やりの判断に迷ったらあげる形をお勧めします。

屋外管理の場合、オンブーは4月頃から葉の展開が進んできます。

◎6月~8月(夏時期)
晴れた日は毎日与えて問題ありませんが
植え替えた直後等用土表面が湿っている場合は、無理に毎日水やりしなくても問題ありません。

夏時期は屋外管理しやすい時期です。

◎9月~11月(秋時期)
オンブーにとって快適な時期で綺麗な葉を維持しやすいです。
春に植えた場合、株のボリュームもあるため、気温の高い日は
毎日水やりをして問題ありません。

真夏よりも吸水量は減りますので、小さな鉢植えや普段乾きやすい株の場合は迷ったら与える
大きな乾きにくい材質の鉢や水持ちの良い用土配合の場合は与えないなどします。

難しく考えず、この時期に栽培に向き合い日々観察し判断することを心がければ、それがベストな選択になっている場合が多いです。

◎12月~2月(冬時期)
冬時期は、完全屋外、ベランダ、無加温温室、加温した室内の環境により水やり頻度は大きく異なります。
※共通している部分は判断に迷ったら翌日以降に与えてください。

①暖地での完全屋外管理の場合:
南関東や当農場のある浜松市では、12月上旬頃には落葉してきます。
用土が湿っている場合は基本的には水やりをせず、雨のない場合は1カ月に1度の場合でも問題ありません。

塊根仕立てや用土が乾きやすい植木鉢管理の場合は、もう少し頻度を増やします。
大きな鉢の場合、降雨があった場合は冬時期は一度も水やりを行い場合もあります。

②ベランダ栽培の場合:
①の完全屋外管理と比較して、寒風を防げ、霜が降りにくいため
落葉しない場合があります。

ぽかぽかな環境だと緩やかに成長することもあるため
真夏時期のように用土が真っ白に乾くことはないため、小さな塊根仕立てでは1週間に1度
大きな鉢植えでは2週間から1カ月に1度が目安になります。

③無加温温室・簡易ビニールハウスでの場合:
ハウスを閉め切った場合、冬時期でも晴れた日は20℃を超えることが多く
落葉した株を取り込んだ場合には芽吹くことも良くあります。

そのため、②ベランダ栽培の環境より水やり頻度を少し多めに行います。

最低気温は外気温とほとんど変わらないため、カラカラに乾くことは基本的にありません。

塊根仕立てなどの浅鉢植えや小さな苗は一週間に1度、8号以上などの大きな鉢植えは2週間から1カ月に1度の頻度が目安になります。

④加温した室内環境:
加温している場合は、その温度環境によって春や夏のように乾くため、
冬時期だから水やりをしないという判断をせずに、用土の表面が乾き具合と葉の展開から判断し、水をしっかりと与えます。

肥料と剪定

☆肥料について

固形肥料・液体肥料様々なものが使用できます。

匂いが気にならない方は有機ぼかしの肥料が秋時期などはお勧めです。
微生物分解で、気温の低くなる時期は微生物の活動も鈍くなることで、肥料の溶け具合も自然にマイルドに調整されていきます。

液体肥料は希釈倍率が調整でき、幼苗や成長のゆっくりな株があった場合には薄めに施肥できます。

IB肥料など加水分解で強めの化成肥料を使用する場合は規定量よりやや少なめからの施肥をお勧めします。

それぞれの肥料によって、効果の続く期間が異なります。

お持ちの肥料で適正な量に迷った際などは公式LINEやDMでご連絡いただけましたら、サポートいたします。
※栽培全般もサポートいたします。

☆剪定について
基本的には葉の展開が旺盛になる5月以降、
冬時期のために葉を多く残したい場合は、10月上旬までに行うようにします。

剪定を行うことで枝数が増え、それに応じて葉数が増えるため株のボリュームが増していきます。

塊根をより大きくすることを目的にする場合は、一度しっかりと枝数の多い土台を作り、
その枝をしっかりと伸ばすようにします。

枝が伸び、株のボリュームが増えることで、その重さを支えようと塊根部分が肥大しやすくなる傾向があります。

開花を目的にする場合は、あまりに頻繁に剪定し枝が短い状態では栄養成長に傾きすぎるため
生殖成長に傾けるため、ある程度伸ばし切りにさせます。

植え替えについて

◎4月から5月頃、9月などがより行いやすいです。

根鉢が形成された株であれば、よほどの厳寒期・猛暑時期を除けば、
時期を問わずに行うことができます。

大きなプランターや植木鉢、お庭や畑に地植えする場合も
根鉢を崩さずにそのままの状態で用土を足すように行います。

追肥は植え替え2週間後を目安に行います。

発生リスクのある病害虫&対策

※オンブーは樹木類に適用のある農薬が使用可能になります。【静岡県病害虫防除所様に確認済み】



比較的病害虫には強いですが、葉っぱはヨトウムシ類・稀にコガネムシの成虫による食害があります。

堆肥や腐葉土の腐植質の用土を使用する際は、用土の中に
コガネムシやネキリムシなど幼虫の発生のリスクは常にあります。

※農薬使用の場合は、商品パッケージに記載の用法用量は従ってください。


お勧めの殺虫剤:スミチオンやモスピラン(コガネムシやカミキリムシなど大きめな害虫対策)、
ゼンターリ顆粒水和剤(ヨトウムシ対策に有効)
ダイアジノンSLゾル(土壌潅水するとコガネムシ幼虫に有効)

お勧めの殺菌剤:トリフミン(治療目的)、ペンコゼブ水和剤(予防目的)、
トップジンM水和剤やベンレート水和剤(治療&予防目的)

水やりを行う際に葉水をしてあげると、水が苦手なハダニやうどんこ病の予防にもなります。

ベニカxファインスプレー(樹木類に適用あり)など、
殺菌、殺虫効果のある複数の種類の成分が含まれたものがあると
発生時や予防に便利です(^^)

地植えする際の注意点

地植えの適期:4月中旬~6月下旬
※真冬でも霜がほとんどおりない地域のみ可能になります。
【瞬間的な最低気温マイナス4℃~5℃までの地域】

木質化の進んだオンブー(4号苗以上の株で6号苗以上のサイズが理想)で行います。

秋にも地植え可能ですが、木質化が進んでいない株は越冬できない場合があります。


オンブーの自生地は九州以北と比較してもやや気温が高めなため、
厳寒期は株元にウッドチップや堆肥を敷き詰め
保温効果を高めてあげると株に優しいです。

寒風が吹き付ける際は、不織布で株を覆ったり、ビニールカバーなどをかぶせてあげるとより安心です。

植え付け時は地面と株元の位置は同じくらいに行い、
株を囲むように周りに土を盛り、株に水が溜まりやすいようにします。

その後たっぷりと水やりを行います。(理想は2回に分けて行う)
※目安として10リットルの水を2回 2回目は10分から15分後に行います。


植え付け後は、酷暑が続く場合以外は水やりをする必要がありません。

生育期は定期的な追肥をすることで、良い成長をします。

※追肥は植え付け2週間程経ってから、しっかり根が安定してから行う必要があります。
用法用量は商品説明に従ってください。

例:IB肥料【窒素10-リン酸10-カリ10】など比較的強めのものがお勧めです。